桜の開花も始まり、卒業・退職等の別れの場面と、それに続く入学・就職等の出会いの場面を迎える陽春の季節となりました。
私も、令和5年1月30日の町長就任以来、『人が輝き 地域が輝く まちづくり』を施政方針に掲げ、苓北町を担う人づくりのために、新たな子育て支援対策の検討や、「地域づくり実践塾」の開設など、各種施策の推進に取り組んできました。
そして、2年目となる本年からは、「人口減少」と「少子高齢化」という大きな課題に対して、『大変なときこそ大きく変われるチャンス』と捉え、一段と”ギア„をあげて取り組んでいかなければならないと強く感じています。
さらに、新たな取り組みを実行に移していくための起点になる年とも考えており、(1)少子高齢化への対応、(2)産業における担い手の確保や雇用の場の創出、(3)苓北町の知名度アップと交流人口や関係人口の拡大 という大きな3つを重点課題として取り組んでいきます。
なお、令和6年度予算における重点取組事項や各項目ごとの施策・事業については、町ホームページや「広報れいほく」でお知らせしていきます。
今回は、町政の動き第2回として、令和5年9月から令和6年3月までの取組状況について報告します。
町の産業を担う人づくり
(1)苓北町第7次振興計画「第14期基本計画」の策定
現在の苓北町第7次振興計画「第13期基本計画」の計画期間が、令和5年度をもって終了することから、令和6年度から令和10年度までを計画期間とした「第14期基本計画」の策定について、12月21日開催の第1回苓北町振興計画審議会に諮問しました。
第1回審議会では、
(1)第14期基本計画の策定方針・スケジュール
(2)現行計画(第13期)達成状況調査結果の報告
(3)町民アンケート調査結果の報告(対象:18歳以上の町民1,500人)
(4)企業版ふるさと納税に係る令和4年度分の効果検証
の4点について報告を行い、ご意見をいただきました。
その後、2月5日に第2回、2月21日に第3回審議会を開催し、「第14期基本計画」を策定。併せて、3月7日の町議会全員協議会において報告を行いました。
(2)国県道路整備促進へ向けた集会等への参画、並びに要望活動
苓北町を含め、天草地域全体の重要課題である国県道路整備に関する要望活動等を、関係自治体や関係機関と連携し行いました。
10月21日 熊本天草幹線道路の早期完成を求める天草島民集会(天草市民センター)
11月15日 八代・天草シーライン実現に向けて、県選出国会議員並びに国土交通省へ要望(東京都)
11月20日 天草地域国県道路整備促進について、県土木部並びに県議会へ要望(熊本県庁)
12月17日 八代・天草シーライン構想推進大会(上天草市松島総合センター)
1月25日 熊本天草幹線道路の整備促進について、県選出国会議員並びに国土交通省へ要望(東京都)
(3)企業訪問及び企業誘致へ向けた取り組み
9月25日 一般社団法人メタバース九州zとの「公民連携」の包括連携協定締結(役場庁舎)
10月17日 一般社団法人九州ニュービジネス協議会平本専務理事とニュービジネス創出について意見交換(役場庁舎)
11月14日 東洋冷蔵株式会社訪問(東京都)
天野取締役常務執行役員他へ志岐漁港高潮対策及び臨港道路開通について報告するとともに、マグロ養殖の現状を伺った。
また、水産系高校(拓心高校マリン校舎)への研修派遣、将来的な漁港活用(海業)についての協力支援を依頼
1月26日 熊本県東京事務所訪問(東京都)
山田次長他と銀座熊本館への物産出品等について協議
1月26日 株式会社レノバ訪問(東京都)
木南代表取締役社長他と苓北風力発電事業の進捗状況と運転開始後の地域貢献等について意見交換
(4)長崎市との交流拡大へ向けた取り組み
2月1日 長崎市鈴木史朗市長との面会(長崎市役所)
長崎市議会議員の山口政嘉氏、山下巌記氏も同席。産業・経済を支える国道としてのルート並びに、天草と長崎との広域観光を踏まえた両市町の交流拡大や、半島地域での地震等災害時の避難路・物資輸送路としての天草(富岡)~長崎(茂木)間のフェリー復活も見据えた検討について意見交換
(5)ワーケーションツアーの開催
令和4年度に環境省の助成を受け、ワーケーションスペースとして再整備した富岡城二の丸東角櫓の利用促進のため、1月29日と30日の両日、ワーケーションツアーを開催。ツアーには、福岡都市圏を中心とした地域から8事業者の方々に参加をいただき、今後の利用促進へ向けた意見交換と懇親会を実施しました。
提案いただいたご意見等に基づき、今後も改善を図りながらワーケーションの推進による交流人口・関係人口の拡大を目指していきます。
(6)地域イノベーション連携モデル事業「メタバース連動型エイジテックサービス創出事業」の取組結果と次年度の計画
苓北町では、町の高齢者に関する課題である「高齢者の外出機会の減少に伴う心身の健康不安」に対し、メタバースを解決手段とする小規模実証と次年度以降の具体的な事業展開へ向けた計画策定を行いました。
8月23日の「めたばあす課」キックオフ会議の後、9月11日と9月20日に苓北中学校において、「外部との交流や新しい趣味、地域での活動に積極的に参加したい」と願う町内の高齢者の皆さんに笑顔になってもらうため、めたばあす課と苓北中学校の生徒が連携し、「メタバース旅行ツアー」の企画を考える講座を実施しました。
そして、12月14日、志岐集会所において、中学生が考えた12グループの「メタバース旅行ツアー」の実証会を開催しました。
3月7日には、議会全員協議会において、本年度の事業成果についての報告を行いました。
苓北町には、既に町内全世帯・事業所に光ファイバー網を構築していますので、今後、整った情報通信環境とケーブルテレビ技術を有効活用しながら、メタバースと連動した高齢者向けの見守りや交流サポート事業などの創出と関連企業(事業者)の誘致を目指していきます。
メタバース旅行実証会の様子(外部リンク)
町の未来を担う人づくり
(1)新たな子育て支援対策の検討と取りまとめ
少子化や進学・就職に伴う町外転出による人口減少を抑制するため、出会いから結婚、妊娠・出産、子育て(保育・教育)、住まい対策に至るまでの総合的な子育て支援対策の拡充に向け、第1回(7月4日)と第2回(8月2日)に引き続き、第3回(9月25日)、第4回(9月29日)となる庁内子育て支援対策会議を行い、新たな子育て支援対策の庁内案を取りまとめました。
その後、10月27日の苓北町子ども・子育て会議において、取りまとめた庁内案について委員の皆様から意見をお聞きし、令和6年度における子ども・子育て支援対策(素案)を決定しました。
これを経て、11月24日には、町議会全員協議会において、苓北町の子育て支援の状況と令和6年度の新たな取り組み(素案)について説明を行いました。協議会では、出会いから結婚、妊娠・出産、保育、教育(小・中・高・大)と併せ、住宅施策を含めた住まい対策までの総合的な子育て支援拡充案についての説明を踏まえ、協議をしていただきました。
そして、3月6日からの町議会定例会において、令和6年度の新たな子育て支援対策に要する予算案について提案を行い、3月14日に原案可決をいただきました。
令和6年度からの主な子育て支援対策(拡充分を含む)は以下のとおりです。詳細は、今後、「広報れいほく」や町ホームページに掲載しながら周知に努めてまいります。
出会い・結婚
(1)結婚支援事業の拡充 (2)結婚祝い金 (3)結婚新生活補助金
妊娠・出産
(1)不妊治療費助成の拡充 (2)誕生祝い金 (3)出産・子育て応援交付金 (4)産後ケア事業の拡充 (5)産前・産後サポート事業(新規) (6)子育て世帯訪問支援事業(新規) (7)地域子育て支援拠点事業の拡充
保育
(1)児童手当の拡充 (2)保育料の完全無償化(3歳未満も無償) (3)保育補助者雇上強化事業(1園)及び保育体制強化事業(5園)(新規)
教育
〈小中学校〉(1)給食費の公会計化と児童・生徒の給食費据え置き
〈高校〉(2)天草拓心高校マリン校舎入学準備金補助金
〈高校・大学〉(3)苓北町奨学資金貸付制度拡充と奨学金返還者に対する免除措置の拡充
〈高校・大学〉(4)苓北町若者定住促進奨学金返還支援事業補助金(新規)
移住・定住・住まい
(1)空き家活用支援事業補助金の拡充 (2)子育て世代定住促進住宅取得支援補助金(新規)
(2)苓北町学校教育審議会の開催
苓北町立小学校の学校規模の適正化に向け、令和4年10月28日の第1回学校教育審議会の開催以降、段階的な協議を続けています。
令和5年度は、8月1日(火曜日)から4日(金曜日)まで苓北町立小学校再編に伴うアンケート結果報告会を開催したほか、以下のとおり審議会等を実施しました。
9月28日 令和5年度第1回学校教育審議会
(1)小学校の再編に関するアンケート調査結果報告会の結果について
(2)苓北中学校予備調査(耐力度調査)の進捗について
(3)今後の進め方について
11月17日~22日のうち4日間 町内小中学校に関する情報交換会
・都呂々公民館 17人出席
・坂瀬川公民館 18人出席
・富岡公民館 19人出席
・役場大会議室 23人出席
12月19日 令和5年度第2回学校教育審議会
(1)小中学校に関する情報交換会実施報告について
(2)今後の進め方について
2月7日 阿蘇郡産山村立産山学園学校訪問
2月15日 令和5年度第3回学校教育審議会
(1)苓北町における教育目標について
(2)苓北町における教育課程等について
(3)今後の進め方について
町を興す人づくり
(1)「地域づくり実践塾」第4回、第5回を開催
「町づくりは人づくりから」。様々な分野でそのリーダーとなる人材を発掘、育成していくための「地域づくり実践塾」は、公募により参画いただいた農業や自営業、会社員、町職員など17名の方々にお集まりいただき、9月21日に第4回、10月16日に第5回を開催し、これまで同様ワークショップにより話し合いを進めてきました。
第4回と第5回では、話し合うテーマを、(1)農業、(2)観光業 に絞り、4グループに分かれて、テーマについての理想像と課題の検討、課題解決のための取組事項と5年後の目標達成のための「ストーリー」について意見交換と取りまとめをした後に、全体発表を行いました。「地域づくり実践塾」でまとめていただいた貴重なご意見やご提案については、苓北町振興計画第14期基本計画に取り入れながら実行に向けて取り組みを進めていきます。
(2)「公園整備計画策定ワークショップ」の実施と防災公園整備基本計画(案)の策定
第2期苓北町子ども・子育て支援事業計画に基づき、その基本理念である「安心して子育てできるまち」の実現のため、ユニバーサルデザインを念頭に子育て世代を始めとした町民の憩いの場として、更には、災害時に威力を発揮する防災機能を有した公園の整備に向けて、「上津深江広域避難地」を活用した公園整備計画策定ワークショップを実施しました。ワークショップは、7月23日の第1回から1月22日の第4回まで、合計4回にわたり開催し、公募により応募いただいた子育て中のお母さんをはじめ12名の皆様にご参加いただき、意見、アイデアを基に、公園計画をまとめました。
(3)「運動・スポーツ習慣化促進事業」の取組結果と「健康ポイント制度」の創設
40歳から65歳の後期働く世代を対象に、働く世代からの体力維持・フレイル予防に向けて、スポーツを始めるきっかけと継続モチベーションづくりのために「運動・スポーツ習慣化促進事業」に取り組みました。
事業では、(1)AIを活用した運動能力測定、(2)スポーツ実施の阻害要因を考慮したスポーツ実施のためのスポーツコンテンツのオンライン配信、(3)スポーツ資源マップの作成と配布によるスポーツ施設等への誘導、などに取り組みました。なお、参加者は120名でした。
今回の事業の成果を踏まえ、町民一人ひとりが健康づくりへの関心を高め、健康的な生活習慣の定着化を図ることを目的として、ご自身での健康づくりやスポーツ大会等への参加、健康診断の受診などに対しての「健康ポイント制度」を令和6年度から創設し、健康づくりに対する無関心層の掘り起こしと運動の習慣化、各種健康診断等の受診率向上などに繋げ、健康寿命の延伸及び医療費の抑制と、地元商店等へのポイント還元を通して、地域経済の活性化を図っていきます。
健康ポイント事業がスタートします